「名刺を交換して、会社名と名前を伝えた。そのあと、何を話せばいいんだろう」
経営者の交流会や懇親会で、こんな間ができることはありませんか。周りを見ると、楽しそうに話している人のところには自然と人が集まっています。自分もあんなふうに話せたら、と思うこともあるでしょう。
ただ、最初から気の利いた話をしようとすると、名刺を見ながら次の言葉を探すだけで精いっぱいになってしまいますね。まずは、その場で共有していることや、相手が説明しやすそうなことを一つ選んでみましょう。
この記事では、名刺交換後の会話を始めて、少し広げ、気持ちよく終えるまでの流れを紹介します。会話例は説明のために作成したもので、実際の商談や受講者の体験談ではありません。
名刺交換後は、短いやり取りを一つ作るところから
限られた時間で多くの人と会う交流会では、長く話せることばかりがよいとは限りません。相手にも、挨拶したい人や、このあと参加する予定があるかもしれません。
そこで、最初の目安を「相手の話を一つ聞いて、自分もひと言返す」にしてみます。いきなり仕事につなげようとしなくても、何をしている人なのか、どんなことを面白いと感じる人なのかが少し伝われば、次に会ったときの話題になります。
僕は、忙しい方同士だからこそ、短い時間でも「話していて楽しかった」と感じられることが大切だと思っています。そのために、無理に笑わせようとする必要はありません。相手の話に興味を持ち、聞こえたことに素直に反応するところから始められます。
初対面の会話を広げる5つのステップ
1.会場やイベントの共通点から入る
名刺をいただいた直後は、二人が今いる場所を話題にすると入りやすくなります。
「こちらの会には、よく参加されるんですか?」
「今日の講演、具体例が多くて印象に残りましたね」
相手が「初めてなんです」と答えたら、「そうなんですね。僕もまだ知っている方が少なくて」と、自分の状況を短く添えることもできます。ただし、自分も初参加だと偽る必要はありません。
講演の話なら、本当に印象に残ったところを一つ挙げてみましょう。「よかったですね」だけより、どこを話しているのかが相手に伝わります。参加していない講演を見たふりはせず、共有できるところを探せば十分です。
2.名刺から、聞いてみたい情報を一つ選ぶ
業種、会社の所在地、事業内容など、名刺には会話の入り口になる情報があります。全部に触れようとせず、自分が気になったところを一つ選びます。
「食品のパッケージを作っていらっしゃるんですね。どんな商品のものが多いんですか?」
「事務所は池袋なんですね。駅から近いんですか?」
「何をされている会社ですか?」と大きく聞くより、書いてある言葉を手がかりにすると、相手も話す範囲を選びやすくなるでしょう。
一方、名刺に役職があるからといって、売上や社員の給与、取引先の内情まで聞いてよいわけではありません。初対面では、相手が紹介しやすい仕事の内容や身近な情報を中心にします。
3.答えの中の一言を、少し具体的にしてもらう
質問に答えてもらったら、次の話題へ急いで移らず、その答えを少し思い浮かべてみてください。
「お菓子の箱が多いですね」
「贈り物用の箱などですか?」
「そうです。開けたときの見え方も考えるんですよ」
「なるほど。箱を開ける瞬間までデザインするんですね」
これなら、相手が話した内容に沿って進められます。業界の知識を見せようとせず、わからないことは「詳しくないので、教えていただきたいんですが」と添えて聞いてもよいでしょう。
ただ、質問を続けると取材のようになることもあります。一つ聞いたら感想を返す。相手がさらに話したそうなら続きを聞く。そのくらいの間合いで十分です。
4.自分の話も、相手の話につながる分だけ添える
聞くことに集中しすぎると、こちらがどんな人なのかは伝わらないままになります。自分の仕事や経験に接点があれば、短く添えてみましょう。
「僕も贈り物を選ぶとき、箱の雰囲気で迷うことがあります。中身を見る前から楽しみになりますよね」
この返しなら、相手の話を受け止めながら、自分の感じ方も伝えられます。ここから自社サービスの説明を何分も続けると、話の中心が急に変わってしまうので、まずは一つの感想にとどめます。
聞かれて自己紹介をするなら、「誰に、何をしているか」を一文で用意しておくと便利です。例えば「小さなお店のホームページ制作をしています」と伝えてから、相手の反応に合わせて説明を足す形です。実績をすべて並べる必要はありません。
5.話した内容に触れて、自然に終える
会話が一段落したら、無理に次の質問を探さなくても大丈夫です。
「箱を開けたときのお話、面白かったです。ありがとうございました」
「そろそろ次のプログラムですね。また会場でお会いできたら嬉しいです」
話した内容にひと言触れると、どこに興味を持ったのかが伝わります。実際には連絡する予定がないのに「必ずご連絡します」と約束する必要もありません。
資料を送ってほしいなど、具体的な続きがある場合は、その場で目的を確かめます。「先ほどの資料、メールで拝見してもよろしいですか」と聞き、相手が了承した範囲でやり取りを続けましょう。
「面白い人にならなきゃ」と焦ったときに
交流会で話が盛り上がっている人を見ると、自分も何か笑えることを言わなければ、と感じるかもしれません。そんなときほど、準備してきたネタを急に入れるより、今の会話の中で自分が面白いと思った部分を拾ってみてください。
先ほどの例なら、「箱を開ける瞬間まで考える」という話に、素直に驚く。それだけでも、相手の仕事への興味は伝えられます。
軽いユーモアを添える場合も、相手の名前、見た目、会社の規模などを材料にしないほうが安心です。自分の小さなうっかり話なら話せることもありますが、その場に合わないと感じたら使わなくて構いません。
笑いが起きたかどうかだけで、会話の良し悪しを決めないでください。短くても話を聞いてもらえて心地よかった、というやり取りもあります。
返事が短いときは、会話を続ける以外の選択も
相手が周囲を見ている、移動しようとしている、短い返事が続く。こうした様子があれば、「もっと面白い話をしなければ」と頑張りすぎず、いったん終えてみましょう。
「お引き留めしてしまいましたね。お話しできてよかったです」
これで十分です。相手が静かな方なのか、急いでいるのか、別の人を探しているのかは、こちらからはわかりません。一度会話が短く終わっただけで、自分に興味がないと決めつけなくてよいと思います。
交流会に行く前に、三つだけ用意する
次に参加するときは、次の三つをメモしてみてください。
・自分の仕事を一文で伝える言い方
・会場やテーマについて、本当に気になっていること
・会話を終えるときのひと言
そのうえで、相手の答えによって話す内容を変えます。用意した質問を順番に消化する必要はありません。
名刺交換後の会話は、その場で一つずつ作っていけます。次の交流会では、相手の答えの中から「もう少し知りたい」と思うことを一つ見つけてみませんか。
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