日本のコミュニケーション関連市場規模調査

日本のコミュニケーション関連市場規模調査
目次

1. 企業向け研修サービス市場全体

市場規模と成長率

  • 2023年度: 前年度比4.3%増の5,600億円
  • 2024年度予測: 前年度比3.6%増の5,800億円
  • 成長傾向: 人的資本経営に取り組む企業の増加と連動して継続的なプラス成長が見込まれている矢野経済研究所

市場成長の主な要因

  1. 人的資本経営への注目増加
  2. 新人研修ニーズの高まり
  3. 現有社員のスキルアップ・定着策としての教育投資
  4. 経営層や経営幹部候補者向け教育投資の拡大
  5. コロナ禍からの集合研修の回復とオンライン研修の定着矢野経済研究所

2. コミュニケーション研修市場

コミュニケーション研修の形態と費用

  • 企業向け講師派遣型研修: 20万円〜40万円程度(10人程度の場合)
  • 公開講座: 個人参加の場合、3万円〜5万円程度
  • 個人向けコミュニケーション講座: 950円〜24万9,000円と幅広い価格帯
  • オンライン研修: 対面研修より低価格(例: 対面10万円に対しオンライン5万円など)各研修会社の情報

主な研修内容

  • ビジネスコミュニケーション基礎研修
  • アサーティブコミュニケーション研修
  • 社外コミュニケーション研修
  • リーダーシップコミュニケーション研修
  • チームビルディング研修

3. ソフトスキル研修市場

市場規模と予測

  • 2024年市場規模: 20億米ドル(約3,000億円)
  • 2033年予測: 51億米ドル(約7,650億円)
  • 年平均成長率(CAGR): 2025年から2033年までに11.1%IMARC Group

ソフトスキル研修の種類別内訳

  • マネジメントとリーダーシップ
  • 総務・秘書
  • コミュニケーションと生産性
  • 自己開発
  • チームワーク
  • その他

提供形態別内訳

  • オンライン
  • オフライン(集合研修)

4. コーチング市場

市場規模の比較

  • 日本のコーチング市場規模: 約300億円(2019年)
  • 米国のコーチング市場規模: 約1兆6,000億円(約150億ドル)
  • 成長傾向: 日本は2015年に約50億円から2019年に約300億円へと急成長(CAGR約56%)コーチング関連情報

コーチングビジネスの細分化

  • エグゼクティブコーチング
  • ビジネスコーチング
  • ライフコーチング(世界市場で約2,067億円、年間成長率4.9%)
  • キャリアコーチング
  • パフォーマンスコーチング

5. 総括と市場トレンド

成長分野と特徴

  1. DX(デジタル)研修: 2025年には380億円程度、2030年に780億円程度の市場規模が予測されている
  2. eラーニング市場: 2023年度の国内eラーニング市場規模は前年度比0.9%減の3,690億円と予測
  3. 人的資本経営関連: 人的資本情報開示義務化を背景とした教育投資の増加

市場拡大の要因

  1. リモートワークの普及に伴うバーチャルコミュニケーションの重要性の高まり
  2. グローバル化による異文化コミュニケーションニーズの増加
  3. 終身雇用の崩壊によるキャリア自律支援の必要性
  4. 人材不足を背景とした従業員エンゲージメント向上策の重視

顧客層の拡大

  1. 従来の大企業中心から中小企業への広がり
  2. 階層別(新入社員〜経営幹部)に細分化された研修提供
  3. 個人向け市場の拡大(キャリアアップ、転職対策)

まとめ

日本のコミュニケーション関連市場は、企業向け研修サービス全体で約5,600億円(2023年度)の規模であり、そのうちコミュニケーション関連の研修やソフトスキル研修、コーチングなどが大きな割合を占めています。特にソフトスキル研修市場は2024年で約3,000億円の規模と推定され、2033年までに約7,650億円まで成長が予測されています。

コーチング市場については、日本では約300億円(2019年)の規模ですが、米国の約1兆6,000億円と比較するとまだ発展途上であり、今後の成長余地が大きいと考えられます。

全体として、人的資本経営への注目、DXの推進、従業員のスキルアップと定着ニーズ等を背景に、コミュニケーション関連市場は今後も安定的な成長が見込まれています。

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